IT業界で2〜5年ほど経験を積んだ若手エンジニアの多くが直面する悩みがあります。
「このままSESを続けるべきか? それとも自社開発に挑戦すべきか?」。
どちらも魅力と課題があり、正解は一つではありません。
この記事では、SESと自社開発の違いを整理しながら、実際の案件例や1日の流れを紹介して、キャリア選びの参考になる視点をお伝えします。
SESとは?特徴と実例
SESとは
SES(システムエンジニアリングサービス)は、クライアント企業に常駐して開発や運用を行う働き方です。
多くの企業が人手不足のため、SESは案件数が豊富でキャリアの入口としても選ばれやすいです。
SESで学べる案件例
- 大手銀行の基幹システム保守
既存システムのログ確認や障害対応。業務知識も学べる。 - ECサイトのテスト工程
リリース前のテスト実施やバグ報告。開発未経験でも携われることが多い。 - 通信キャリアのインフラ監視
ネットワーク監視ツールを使い、障害発生時に一次対応。インフラの基礎を身につけられる。 - Webアプリの開発補助
JavaやPHPでの修正対応や小規模な機能追加。コードレビューを受けられる現場もある。
SESのメリットと課題
SESの魅力は「案件の幅広さ」です。インフラから開発までさまざまなプロジェクトに携われるため、キャリアの初期段階で多様な経験を積みやすいのが強みです。
一方で課題は「配属ガチャ」と呼ばれる部分。参画する案件によって学べることが大きく変わり、中には成長につながりにくい業務に長く携わる可能性もあります。
自社開発とは?特徴と実例
自社開発とは
自社で企画・開発したサービスやプロダクトを、チームで継続的に改善していくスタイルです。
Webサービスやスマホアプリ、SaaSなどの会社で多く採用されています。
自社開発エンジニアの1日の流れ(例)
- 9:30 出社/リモートログイン
SlackやTeamsでチームメンバーと朝のあいさつ。 - 10:00 デイリースクラム
昨日の作業、今日やること、困っていることを共有。 - 10:30 コーディング・レビュー
担当機能を実装。終わったらGitHubでプルリクを出してレビューを受ける。 - 12:00 昼休憩
- 13:00 仕様打ち合わせ
デザイナーやPMと画面設計の議論。「ユーザーが使いやすいか?」を意識。 - 14:00 実装/テスト
午前の続き。レビューコメントを反映しながらコードをブラッシュアップ。 - 17:00 運用対応
サービスで発生した不具合調査やログ解析を担当することもある。 - 18:30 退勤
自社開発のメリットと課題
自社開発の強みは「一つのサービスに深く関われる」ことです。設計から運用まで一貫して経験できるため、専門性が身につき、チーム開発スキルも磨けます。
ただし求人倍率が高く、転職時には「即戦力」が求められる傾向があります。技術領域がプロダクトに偏りやすい点も課題です。
SESと自社開発の違いを整理
両者をシンプルに比べるとこんな感じです。
SESは、案件ごとに環境が変わるため「幅広い経験を積める」一方で、配属先によって成長スピードが左右される不安があります。
自社開発は、同じサービスを長期的に育てるため「専門性を深めやすい」ですが、入るハードルがやや高く、分野が狭まるリスクもあります。
キャリア選びのポイント
こんな人はSES向き
「まだ専門を決めきれていない」「幅広い現場でいろいろ経験したい」「まずは実務経験を積みたい」という人にはSESが合います。特に20代のうちは“経験のストック”を増やすのに向いた環境です。
こんな人は自社開発向き
「1つのサービスをじっくり育てたい」「チームでの開発フローを経験したい」「特定の技術を深めて市場価値を上げたい」という人には自社開発が向いています。長期的に腰を据えてキャリアを積みたい人におすすめです。
まとめ
SESも自社開発も、どちらが正解というわけではありません。大切なのは「自分がどんなエンジニアになりたいか」という軸を持って選ぶことです。
もし「幅広く学びたい」「まだキャリアの方向性を探っている」ならSESが良い選択になるでしょう。逆に「サービスを長く育てたい」「専門性を武器にしたい」と考えるなら、自社開発を目指すのが自然です。
20代半ばから後半はキャリアを形作る大事な時期。迷うのは当たり前ですが、その迷いこそが成長のきっかけになります。自分の強みや価値観に合わせて選び、次のステップに自信を持って進んでいきましょう。
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